人生で一度しか食べてないもの
タイトルが思いつかず、ふと珍しいものは何だろうと思った末のこのタイトルになったけれど内容とは無関係。 あしからず。
皆さんは何を思い浮かべただろうか、筆者はアケビという謎の果物だった。
日頃、エネルギーというか真人間性と言い表したほうがいいかもしれないナニカが上げ下げして僕という人のリズムができている。
そのナニカとは何だろう、ナニかもしれない。 そんな冗談はさておき、そのリズムが下向きになると全てにおいてやる気がなくなり、うなぎパイですら僕に力を分け与えることはないだろう。
勇気も根気もなくなり、なにかをしなければならないという強迫観念にも似た焦燥感に蝕まれることとなりながらずっとダラダラと時間を浪費している。
今ここでパンツを引き伸ばしながらお経でも叫んでやる。 いや、お経は知らないから雄叫びしか上げられないな。
ではここで、人生で一度しか食べてないものとしてアケビを思い出しながら架空の食レポをしてみよう。
そう思い立った所、折り目が多すぎて純白の帽子がグレーとして描画されているシェフが銀色の東京ドームのようなメインディッシュを隠すやつを片手にサンバのリズムでこちらへ歩いてきた。
彼は何も言わずにその銀色の東京ドームをテーブルに置くと「こちらが本日のメインディッシュです」と言いたげな目で猿轡から唾液を垂らしながらこちらを見つめていた。
さて、銀色の東京ドームが銀色の基礎から離陸して空の彼方へ消えていくとそこには紫色のふてぶてしく肥えたチアノーゼの子豚のような物体が佇んでいた。
それに恐る恐る手を伸ばし、親指で裂いてみると中身は白いようなカエルの卵のようなものが出てきた。
似ているものを言うならばカカオだろうか、そんな感じのアレだ。
食べてみても食感も味も印象を懐きづらいものだった。 しかし、不思議と不快感はなかった。
ふと周囲に目をやるとシェフは居なく、この空間には無機物すら存在せず僕一人が佇んでいた。